税理士の山本です。
「貸借対照表(BS)のスリム化ってなんですか?」
財務を勉強なさっている美容室のオーナー様から、こんなご質問をいただきました。
「貸借対照表のスリム化」とは、
貸借対照表(BS)にある
①余分な資産・負債を相殺したり、
②余分な資産の売却によって、含み損を実現させる。
こういった手法によって資産の部・負債の部・純資産の部の総額を少なくすることをいいます。
※会社のダイエットというイメージです
さて、このBSのスリム化にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
色々ありますが、今回は3点ご紹介します。
1.自己資本比率が上がる(銀行評価が上がる)
まずはこれ、自己資本比率が上がります。
自己資本比率とは、純資産の部÷(負債の部+純資産の部)です。
借入金を繰上返済するなどして、資産と負債を相殺するという手法を使うと、
分母の数字(負債の部+純資産の部)が小さくなって、自己資本比率が増加します。
自己資本比率が上がるとどうなるか?
そう、銀行評価の引上げという効果が得られるというのが、メリットの1つ目です。
※ただ、この手法は、財務基盤の強いオーナー様でないとリスクもあります。
年商1億・預貯金4,000万・借入1,000万。
この借入金1,000万円を繰上返済しても、月商の3倍以上の預貯金が手もとに残る。
このように財務基盤が強いオーナー様でなければ、やらない方が望ましいです。
2.余分なランニングコストがなくなる
次に、BSのスリム化には、遊休資産の売却という手法もあります。
使用していないのに所有している、遊休不動産などを売却するとどうなるか?
①手元資金の増加
②固定資産税や管理費などのランニングコストの圧縮(固定費の削減)
という効果を得ることができます。
つまり、より財務基盤が強くなり、収益体質の会社に変えることができるというのが、メリットの2つ目です。
3、含み損を使った節税対策
また、BSのスリム化によって、節税も可能です。
含み損のある土地・過剰在庫を処分することによって、含み損を実現することができます。
つまり、経費が増えるということです。
その結果、利益が圧縮されて税金の支払いを抑えられ、手元預金を増やすことができます。
なお、含み損の金額によっては、その期は赤字決算になる可能性もありますが、
固定資産売却損は特別損失に計上されますので、
銀行には、あくまでも一時的な赤字・戦略的な赤字であると説明する事ができますので問題にはなりません。
このように貸借対照表のスリム化には、様々なメリットがあります。
その一方で、デメリットのある手法もありますので、
実行なさる際は、事前に税理士とシミュレーションをなさるようにしてください。
kei
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