税理士の山本です。
数年前からですが、
社会保険料の負担を下げるための、
グレー or ブラックな手法が増えてきたように思います。
その1つが、「社会保険の一部加入」。
この手法、非常にリスクが高いです。
1.どんな手法か
「社会保険の一部加入」は
スタッフさんの一部を社会保険に加入させ、
残りのスタッフさんは、社会保険に加入させない手法を言います。
業務委託サロンであれば、
役員報酬をもらう役員だけが社会保険に加入していれば、全く問題ありません。
一方、役員以外にも、正社員のスタッフさんがいるサロンの場合、
原則として、全員に社会保険の加入義務があります。
※試用期間であっても、加入する必要があります
そんな中で、
①「役員だけ」加入させる
②「役員とスタイリストだけ」加入させる
③「役員とアシスタントだけ」加入させる
このように、一部のスタッフさんだけを社会保険に加入させ、
保険料負担を下げる。
こういった「社会保険の一部加入」は、全てアウトです。
「社会保険の一部加入」の話は数年前からあるのですが、
なさった理由は、
「別のオーナーさんやコンサルタントから、この方法なら大丈夫と聞いたから。」
「スタッフを雇っても、すぐに辞める可能性があるから。」
「スタッフ本人が、社会保険に入りたくないと言っていたから。」
など様々ですが、
何にせよ、非常にリスクが高いです。
2.リスクが高い
年金事務所による社会保険加入のチェックが厳しくなってきた昨今、
イヤな話ですが、
2年遡って加入することになり、
社会保険料を2年分払わされることになった。
という話は、数年前に比べてよく聞くようになりました。
社会保険料は、労使折半で負担するので、
年金事務所に2年分の保険料負担を求められた場合、
スタッフさんにも負担すべき金額が半分あるわけですが、
スタッフさんに、いきなり2年分の保険料負担を求めたら、
退職してしまうと思います。
そのため、実務上、
お店が全額負担せざるを得ないことがほとんどです。
「未加入のスタッフさんの人数 × 年収 × 2年分 × 社会保険料率30%」
とすると、
「5人 × 300万円 × 2年分 × 30% = 900万円」
この金額を、いきなり年金事務所から請求されることになります。
全く笑えません。
お店の存続にかかわります。
3.まとめに
「社会保険の一部加入」は、リスクが高いです。
一時的にキャッシュ負担は減りますが、
年金事務所の調査で過去2年分を請求されたら、
一時的に浮いた金額以上のキャッシュ負担が待っています。
人から聞くと、
魅力的に聞こえるかもしれない手法ですが、
くれぐれも、実行しないようにお気を付けください。
kei
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