税理士の山本です。
「公庫は、通帳を見てなにを確認しているんですか?」
公庫へ創業融資を申し込まれるオーナー様から、こんなご質問をいただきました。
創業融資を受けるときなどは、銀行から「預金通帳を持ってきてください。」と言われることがありますが、
その1番の目的は、「自己資金」の存在を確認するためです。
ですが、ただ通帳を持っていけばOKというわけではなく、
次のようなお願いをされることがあります。
①通帳の原本を持ってきてください
②最近6か月分以上持ってきてください
③普段の支払いに使っている通帳も持ってきてください
④記帳をしてきてください
⑤ネット銀行は取引明細を印刷して持ってきてください
銀行がそんなことを言う「意図」を理解しておくと、よりスムーズに対応もできます。
というわけで本日は、このよくある5つのお願いの意図をお伝えさせていただきます。
①通帳の原本を持ってきてください
通帳は「原本」が基本です。
偽装・改ざんが少なくないという現状があり、銀行は原本で確認をするようにしています。
原本に直接は難しくても、コピーをする段階でなんらかの偽装・改ざんであれば比較的やりやすいということです(もちろんやらないでください)。
ex.数字を一桁つけ足すとか。表紙や1ページめ(名義や口座番号などが書いてある)はじぶんの通帳で、それ以降のページは他人の通帳にするとか
そういうこともあり、銀行は、持参してもらった通帳の原本を確認することを原則としています。
②最近6か月分以上持ってきてください
また、よく「最近6か月分以上の取引がわかる通帳を持ってきてください」と言われます。
なぜかというと、
確かに、現在の預金残高であれば、通帳の最後の部分だけを見ればわかりますが、
中には、残高=自己資金とは限らない人がいるからです。
たとえば現在の残高が300万円だとしても、ご家族・ご友人に頼んで借りた300万円かもしれません。
だとしたら、それを自己資金とは言えないですよね。
こういうこともあり、銀行は、過去6か月分以上前から、
本当に自己資金(誰かに返さなくてもよいお金)かどうかを確認しています。
③普段の支払いに使っている通帳も持ってきてください
また、自己資金としてのおカネがある通帳だけではなく、
「普段の支払いに使っている通帳も持ってきてください。」と言われます。
これは、家賃、水道光熱費、住宅ローン、税金などの日々の支払に遅延がないかどうかを確認するためです。
結果、遅延があれば、融資を受けることは難しくなります。
「遅れたりするのはお金に困っているのかな?であれば、融資をしてもプライベートの支払に使われてしまうかも。」
「そもそも、日々の支払いすら期日を守って払えない人であれば、融資の返済なんて望めないな。」
という評価につながるからです。
お金を貸す側からすれば、そういう人には貸したくありませんよね。
そのため、これから創業融資を受けるなどの予定があれば、
少なくとも最近6か月は支払いに遅延がないように気をつけましょう。
④記帳をしてきてください
また、「記帳をしてきてください」と言われます。
言うまでもなく、いちばん最新の情報を確認するためです。
ちなみに、あまり長いあいだ記帳をせずに通帳を放っておくと、
その間の取引合計での記帳になってしまうことがありますので、記帳はこまめに記帳なさってください。
(ex.1月1日~9月30日までの合計〇円、といった風に記帳されてしまい、日々の流れが通帳で証明できなくなります)
なお、通帳を見た銀行から、「1,000円でもいいので預入をしてから、再度、記帳した通帳をお見せください」と言われることもあります。
これは、本当に記帳をしていないだけなのかを確認するためです。
たとえば、通帳には、300万円の残高が掲載されてるけれど、
実は記帳をせずに300万円を使ってしまっているケースがあるわけです。
本当はない300万円を自己資金としてウソをつかれてはたまらないので、
銀行は「預入・記帳をさせる」ことで確認をします。
したがって、取引がない期間があまり長いようだと、
そんなふうに言われることもあるのだな、と覚えておいてください。
⑤ネット銀行は、取引明細を印刷して持ってきてください
ネット銀行などの場合には、通帳自体が無いということもありますよね。
その場合は、「ネットから取引明細を印刷して持ってきてください。」と言われます。
これを通帳の代わりにチェックしますということですね。
ちなみに取引明細については、CSV形式でダウンロードできるケースもありますが。
この形での印刷・持参はやめておきましょう。
なぜなら、CSVはデータの加工が容易だからです。ゆえに、偽装・改ざんをイメージさせます。
ムダに悪いイメージを持たれることがないように、取引明細は「PDF形式」あるいは「画面のコピー」で印刷・持参をしましょう。
それでも偽装・改ざんの可能性はありますから、その場でログインさせて、印刷した取引明細の内容が本当かを確認する銀行もあります。
なかなかたいへんだなぁ、と思うこともありますが、銀行の意図を理解して協力するようにしましょう。
まとめに
通帳に関して銀行からよくお願いがあるのは、以上5点です。
「なんで銀行はそんなこと言うの?」と疑問に感じることがあるかと思いますが、
前もって銀行側の「意図」を押さえておきましょう。
よりスムーズな対応ができるようになるはずです。
kei
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