税理士の山本です。
開業前は軌道に乗るのか不安ですが、
開業後、順調に売上が伸びると、気が緩むオーナーさんもいらっしゃいます。
どう気が緩むかというと、「悪い意味」で金銭感覚がズレるということです。
これは雇われていた頃と違い、
売上から経費を除いた残りが自分の手取りとなるため、わかりやすく手取りが増えるからです。
実は、ここが分かれ目の1つ。
収入が増えるのは素晴らしいですが、ここで高級車・高級時計などの贅沢をすると、
実は資金繰りで大変な目に遭います(特に税金の支払いで、、、)。
理由は以下の通り、
①目の錯覚(税引前と税引後)
開業前と開業後のキャッシュフローで大きく違うのが、
開業前は、所得税や住民税、年金や健康保険といった「税金」「社会保険」が給与から天引きされていましたが、
開業後は、自分で銀行などで納付しなければならない点です。
言い換えると、開業後に手取りが増えたと思うのは、
すぐに軌道に乗ったのも事実ですが、
税金や社会保険を納める前の収入だから。とも言えます。
そのため、収入をベースに浪費してしまうと、
税金や社会保険料が納付できないという事態がありえます。
②税金は、後からやってくる
また、「住民税・健康保険料・個人事業税」などは、
「去年」の利益をベースに市区町村が納付書を郵送してきます。
つまり、開業1年目すぐに軌道に乗って利益がでて、
2年目以降に驚くほどの納税が待ち構えているということです。
また、経営なさっていると、通常3年目からは「消費税」の納税もプラスで生じますので、
納税資金を手元に残しておかないと大変な目に遭います。
③支払の全てが経費になるわけじゃない
独立前のオーナー様の中には、
「支払いをすればするほど税金が減る」と思っている方もいます。
しかし、現実は「支出=経費」ではなく、
お金を支払ったとしても、すぐ経費に落とせるものばかりとは限りません(ex.減価償却費)。
つまり、支出が多くても見た目ほど税金は減らないということです。
固定資産は減価償却によって数年間で経費にしていきますし、
開業融資の返済のうち元本部分は、経費ではありません。
こういった財務的な知識がないと、決算で納税額にビックリすることがあります。
まとめ
経営が軌道に乗ると、開業前の不安は消えていきます。
ただ、そこで調子乗って贅沢をしてしまうと、予想以上に大きな税金や保険料などの支払いで
資金繰りに大ダメージを受けることがあります。
開業後、順調に売上が伸びると、気が緩むオーナーさんは一定数いらっしゃいます。
「悪い意味」で金銭感覚がズレないよう、お気を付けください。
kei
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