「決算賞与って何でしょうか?」
美容室のオーナーさんから、こんなご質問を頂きました。
「決算賞与」とは、決算の業績が良かった場合に、
スタッフさんに支給する賞与をいいます。
一般の賞与は、
実際に支給しなければ経費にすることはできません。
※1期目の経費にするなら、
1期目の決算日までに、賞与を支給しなければいけません
一方、
決算賞与は、未払でも経費にすることができます。
※1期目の経費にできますが、
実際に支払うのは、2期目でOKということです
そのため、
「もう決算日が迫っているので、節税対策を打つ時間がない。」
「よし、税金を払うくらいなら、決算賞与としてスタッフに還元しよう!」
という時によく使われます。
1.経費にするための3つの条件
決算賞与を経費にするには、
次の3つの条件を全てクリアしなければなりません。
①決算日までに、支給する額を、支給するスタッフさん全員に通知していること
スタッフさん1人1々に対し、
支給予定額を知らせる必要があります。
なお、口頭では証拠が残らないので、メールや書面で通知してください。
②通知したスタッフさん全員に、決算後1ヶ月以内に支払っていること
3/31が決算日の場合、4/30までに支給しなければなりません。
また、通知した後に辞めてしまった従業員に対しても、
決算賞与を支払う必要があります。
③支給予定の決算賞与の金額を、その年度において経費計上していること
帳簿で、経費として計上してください。
ということです。
この3つを全てクリアできれば、
未払でも、決算賞与を経費にすることができます。
2.決算賞与のメリット
次に、決算賞与のメリットは3つ。
①「決算直前の節税対策」
決算直前に、賞与分の経費が増やせるので、
その分節税になるというメリットです。
②「銀行評価の向上」
また、未払の賞与を経費にできるということは、
決算書の損益計算書では、費用になり、
貸借対照表では、現預金が手元に残っていることになります。
現預金が多ければ、
銀行が決算書を見た時に「現預金が豊富な会社」と評価するため、
次の融資につながりやすくなるというメリットがあります。
③「スタッフさんのモチベーションアップ」
また、賞与を支給することで、
スタッフさんのモチベーションが上がるというメリットもあります。
3.決算賞与のデメリット
一方、
決算賞与のデメリットは、次の2つ。
①手元現金が減る
決算賞与を支給して節税するよりも、
支給せずに税金を払ったほうが、
手元には多くの現金が残ります。
これが、1つ目のデメリットです。
②スタッフさんが期待する
また、1度支給を受けたスタッフさんは、
毎年もらえると期待するというデメリットもあります。
特に、次の年もらえなかったとしたら、
スタッフさんのモチベーションへの影響は、
計り知れません。
「今年はもらえないのか。」
で済めばいいですが、
「もしかして、うちのお店、業績悪いのか?」
という疑念に代わる可能性すらあります。
そのため、
今期の成績が、特別に良かったことによる決算賞与であれば、
「今年だけである」旨を、スタッフさんには説明しておくことをオススメします。
4.まとめ
決算賞与は、決してメリットばかりではありません。
特に、手元現金が減るというデメリットは、
多店舗展開を考えると無視できません。
どちらが良いと考えるかは人それぞれですが、
多少の税金を払ってでも、手元現金を増やしていくことも、
事業拡大には必要になりますので、
バランスを見ながら、
決算賞与を活用していただければと思います。
kei
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