税理士の山本です。
美容室と雇用契約を結ばない美容師を『面貸し美容師』・『ミラーレンタル』と呼んだりします。
美容室で増えてきたこの「面貸し(ミラーレンタル)」の制度ですが、
「雇用されている美容師」と「面貸し美容師」は、所得税の計算が全く違うことを知っていましたか?
1.「契約の違い」
まず、両者の違いは「契約」です。
①「雇用されている美容師」の場合は、美容師さんとお店の「雇用契約」となります。
つまり、「お店の従業員」になるわけですね。
②一方「面貸し美容師」の場合は、美容師さんとお店の「委託契約」となります。
つまり、「外注さん」になるわけですね。
両者の違いを簡単に言うと次のようなイメージです。
「雇用されている美容師」は、従業員としてお店の指示に従わなければいけません。
サロンなど一定の場所で、決められた時間一定の労働を提供することで、安定した給料をもらうことができます。
「雇用されている美容師」がお店に提供しているのは、「労働力」であり、「成果(結果)」ではありません。
一方、
「面貸し美容師」は、従業員ではありませんので、原則としてお店の指示に従う必要はありません。
場所を借りているだけですのでね。
そして、個人事業主として自己の責任と判断で業務を行い、業務の対価として報酬をもらうことができます。
「雇用されている美容師」が提供しているのは、「成果(結果)」であり、「労働力」ではありません。
2.「経費負担の違い」
①「雇用されている美容師」は、原則として、経費の負担はありません。経費は、お店が負担します。
②「面貸し美容師」は、原則として、経費がすべて自己負担になります。
3.「確定申告の違い」
そして、確定申告の有無で、両者は全く異なります。
①「雇われている美容師」がもらうのは、「給与所得」になります。
「給与所得」は、毎月お店からもらう給与から源泉所得税が天引きされ、手取り額が払われます。
そして、原則として年末調整で所得税の計算が終わるため、確定申告の必要はありません。
②一方、「面貸し美容師」がもらう報酬は、『事業所得』となり、お店に源泉徴収義務も年末調整もありません。
したがって、報酬を受け取る「面貸し美容師」さんは、1年分の収入と経費をまとめて、
自分で翌年3月15日までに確定申告をする必要があります。
このように、
美容室に「雇用されている美容師」と「面貸し美容師」は、所得税の計算が全く違います。
どちらが有利不利というわけではありませんが、
あなたのライフスタイルによって、どちらを選ぶとしても、
所得税上、こんな違いがあるということだけは知っておいてくださいね。
kei
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