税理士の山本です。
「なぜ、開業当初は、メガバンクではなく信用金庫と取引した方がいいんですか?」
これから美容室を開業予定のオーナー様に、こんなご質問をいただきました。
はい。信金さんから融資を受けるメリットは、大きく分けると3つあります。
①借りやすい
ここでいう「借りやすい」とは、「メガバンクや地方銀行に比べると」という意味です。
銀行の中でも規模が大きい「メガバンク」は、自分と同じ、大きな会社をメインの融資先にしています。
逆に、規模が小さい「信用金庫」は、小さな会社をメインの融資先にしています。
「地方銀行」は、その中間というイメージです。
したがって、個人事業者や中小企業が融資を受けようとするのであれば、
「まずは信用金庫」と考えていただくとベターということです。
ちなみに、なぜメガバンクが大きな会社を相手にしているかというと、
メガバンクは信用・格・ネームバリューがありますから、たくさんの会社が融資を受けたいとやって来ます。
その中から「業績が良く・安定性の高い会社(地域の優良企業)」に融資をすれば良いわけです。
つまり、あえて「安定性の低い中小企業」に融資する必要がないことから、
メガバンクのハードルは高いということです。
②プロパー融資が受けやすい
民間の銀行からの融資は、大きく2つに分かれます。
信用保証協会が保証を付ける融資と、その保証がない融資です。
前者は「保証協会付き融資」、後者は「プロパー融資」と呼ばれます。
保証協会付き融資は、返済不能時には信用保証協会が肩代わりをするため、
銀行にとってはリスクが少ない融資です。
ゆえに貸しやすい。私たち経営者にとっては借りやすい。
一方、信用保証協会の保証については「信用保証料」を私たち経営者が支払わなければならず。
これがなかなかの負担ですよね。
したがって、「できればプロパー融資を受けたい」というのが、
借りる側である私たちの希望になります。
ここで、ひとつの目安をお伝えすると、
メガバンクは、年商10億円を超えるくらいの会社をプロパー融資の対象としているそうです。
地方銀行は、年商が3億円を超えるくらいの会社を。
そして、それより年商が少ない会社がプロパー融資を受けたいのであれば、信用金庫からということになります。
※もちろん、実際は年商だけで決まるほどシンプルではなく、
財政状態などを加味してプロパーがでるかどうかが決まりますが、
やはり他の銀行と比べると、信用金庫さんのハードルは低いです。
③借りる時も、借りた後もやさしい
上記1でメガバンクは、「業績が良く・安定性の高い会社(地域の優良企業)」に融資をするとお伝えしました。
これ、逆にいうと、「業績が悪く・安定性の低い会社」には融資をしないということですが、
これは借りたあとも同じです。
つまり、融資を受けたあと、業績が悪くなるようであれば追加融資しないのはもちろん、
場合によっては早期回収をはかるのがメガバンクです。
銀行の中でもメガバンクは、融資先を1番「数字(業績)」で見ています。
その点、とてもドライでシビアです。
対して信用金庫は、数字も当然見ますが、メガバンクに比べれば寛容と言えます。
メガバンク並みに厳しくしていたら、融資をできる人がいなくなってしまうからです。
よって、数字以外の評価も大切にしています(経営者の能力・性格、事業の内容や将来性などです)。
言い方を変えると、融資を受けたあとに業績が悪くなった場合でも、
極端に追加融資を躊躇したり、早期回収をはかることが少ないのが信用金庫です。
そもそも、信用金庫のビジネスモデルは「地域密着」です。
にもかかわらずシビアでドライ過ぎると、
その地域でワルイ噂がたち、商売がやりづらい、という事情もあるでしょう。
いずれにせよ。借りるときにやさしく、また借りたあともやさしい信用金庫のほうが、
個人事業者・中小企業の資金繰りは安定するということです。
以上3点が、信用金庫のメリットとなります。
今日は、信用金庫のメリットについてお伝えさせていただきました。
もちろん、メリットがあればデメリットもあるのが世の常です。
そこで後日、信用金庫のデメリットについてもお伝えしたいと思います。
kei
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