税理士の山本です。
美容室の社会保険のお話をお伺いしていると、
グレーorブラックな手法も増えてきたように思います。
その1つが、
「基本給だけ社会保険加入」
ハイリスク過ぎる手法なのですが、
この手法が最近増えてきたように思います。
1. 「基本給だけ社会保険加入」
どういう手法かというと、
①「基本給」
→ 給与 = 社会保険加入が必要
②「歩合・手当」
→ 外注費(業務委託) = 社会保険加入はいらない
このように、1人のスタッフさんに支給する金銭を、
2つの名目で処理するということです。
「これなら、業務委託にした『歩合・手当』の部分の社会保険料が軽減できる!」
ということを聞いて実行なさる方もいらっしゃるそうですが、
正直、かなりハイリスクです。
2.なぜ、ハイリスクか
1人の人が同じ仕事をしているにも関わらず、
①基本給部分は、給与
②歩合・手当は、外注費(業務委託)
どう考えても、つじつまが合わないんですね。
※明確に別の仕事をしているのなら、2つに分けることにも合理的な理由があるでしょうが、
全く同じ仕事をしているのに、2つに分ける理由がないためです。
そのため、もし税務調査が入った時には、
「スタッフさんに払っている金額の実態は、すべて給与ですね。」
このように指摘され、合理的な理由がないようなら、
外注費としていた金額が、すべて給与と認定されます。
3.もし、給与とされたらどうなるか
これまで外注費(業務委託)としていた部分が、
給与と認定されたらどうなるか。
①源泉所得税の追徴
②消費税の追徴
③社会保険料の追徴
このトリプルパンチが待っています。
外注費(業務委託)としていた金額が200万円だったとして、
これを給与だと認定されたら。
①源泉所得税の追徴
200万円×税率10%=20万円
②消費税の追徴
200万円×税率8%=約15万円
③社会保険料の追徴
200万円×料率30%=60万円
④合計
20+15+60=95万円
これが1年分。1人でこの値段です。
これが
「95万円 × スタッフさんの人数 × 過去〇年分」
と考えると、恐ろしいことになります。
スタッフさん3名、過去3年分だと考えても、855万円。
これを一括で払う。冷汗が出ます。
4.まとめに
もし、税理士からこの手法を勧められたら、
すぐに顧問税理士の変更をお考えいただいたほうがいいです。
他にも、
「〇〇コンサルタントという人から聞ききました。」
なんてこともあるようですが、
誰から聞いたにせよ、勧められたにせよ、ハイリスクすぎます。
年金事務所による社会保険の加入調査も、
毎年厳しさを増してきています。
取り返しがつかなくなる前にその手法をやめてください。
kei
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